もうすぐ始まるG20は、大阪では初めての開催です。各国首脳が集まるため、毎年大注目されています。
今年はG20前後の交通規制に加えて、大阪では初めての経験のため交通網がぐちゃぐちゃになりそうですが、世界的にはとても注目されているイベントであることは確かです。
グローバルな人材・ビジネスパーソン・就活生などはG20大阪サミットのテーマについて考えを持っていないと置いてけぼりになってしまいます。
そんなG20大阪サミットで話させる主要なテーマは何でしょうか?G20大阪サミットのテーマを理解する上で必要な英単語・フレーズをまとめました。
G20の主要4テーマに関する英単語・フレーズ
G20大阪サミットで話される主要なテーマは、次の4つです。
- 気候変動
- AIおよびロボット工学
- 国際貿易
- デジタル課税
それぞれのテーマを理解するために、確実に必要となる単語・フレーズを紹介します。
国際会議全般でよく使われる英単語・フレーズ
agenda
議題のことです。アジェンダとそのまま訳されることが多く、意味が分からないままよく使われる言葉の一つですが、要は議題、または扱われるテーマのことです。職場の会議でも使える言葉です。議事・議事録はproceedings(複数形)です。
be up for discussionで「議題になる」という意味になります。
the chair country
議長国の意味です。議長国とは、国際会議の議長を務める国のことです。G20大阪サミットなら日本のことです。chairとだけ呼ぶこともあります。
他にも次の言葉がよく使われます。
- the host country 開催国
- participating county 参加国
Leaders' declaration
leaders'declarationは首脳宣言の意味です。首脳宣言とは、各国の首脳による会議などで合意した事を発表することです。
Meeting, conference, congress, council,session
「会議、会合、会談」を意味する語は次の5つがあります。
meeting
ビジネスの「打ち合わせ」という意味から大臣などの会議でも使われる一般的な単語です。
- 外務大臣同士の会合はforeign ministers' meeting
- 財務大臣同士の会合はfinance ministers' meeting
- 緊急会合はemergency/urgent meeting
日本語でもミーティングといいますからこれはわかりやすいですね。
conference
公式の会議。学術的な会議や研究会など大きくて、お堅い会議に使われる場合が多いです。
conference at ministerial levelだと閣僚級会談のことです。閣僚(かくりょう)というのは、内閣を構成する各大臣のことで、大臣のレベルで会談するというのが閣僚級会談です。他の呼び方としては、ministerial-level conferenceも良くみかけます。
congress
大規模で正式な会議。conferenceとほぼほぼ同じような場面で使われますが、conferenceとcongressの違いは、conferenceの方が小規模という点です。例にCongressが使われる会議には次のような世界的な大規模な会議に使われる場合が多いです。
- UN(United Nation)Congress 国連会議
- International Congress of Modern Architecture 現代建築国際会議◆【略】CIAM
- the Congress of the United States アメリカ合衆国議会
council
「協議会」「評議会」「審議会」「地方議会」の意味で使われます。councilとcongressの違いは、councilの方が小規模という点です。councilとconferenceの違いは、conferenceの方がビジネスなどでもよく使われるというくらいです。
- Council of Europe (CoE) 欧州評議会
- County Council 州議会
- Cabinet Council 閣議
session
sessionは、カジュアルよりに使われることが多いです。国会の会議や大学の授業、軽い打ち合わせのようなセッションなど幅広く使われる単語です。
- regular session 本会議
気候変動 Climate Change
気候変動は、アメリカが2015年に採択されたパリ協定を離脱表明したことによって、国際的な問題となっています。アメリカ1国のみはパリ協定を離脱しており、他の19か国と相違する自体となっており、トランプ氏の対応が一番の注目どころです。
さらに、近年注目されている海洋プラスチックごみの排出削減についても議題にあがります。
海洋プラスチックごみ問題というのは、年間少なくとも800万トン以上のプラスチックごみが海に流れており、海の生き物を害してしまっている問題です。これは海にいる魚や亀がかわいそうという問題ではなく、人もプラスチックごみを間接的に食べることになります。5mm以下の細かいプラスチックの粒子であるマイクロプラスチックは魚が食べている場合があり、その魚を人が食べているなどが考えられるからです。
2019年6月10日にカナダのJustin Trudeau首相(ジャスティン・トルドー)がプラスチックの袋、コーヒーカップのふた、さらにはボトルといった使い捨てのプラスチックの利用を2021年から禁止する方針を発表しています。カナダではプラスチックのリサイクルが10%を下回っていることが大きな理由ですが、今後ますますこの流れは強くなりそうです。
お子さんなど大切な人を守りたい人は、この海洋プラスチックごみ問題の対策は自分たちで考えないといけない問題です。
mitigation and adaptation 緩和と適応
温室効果ガスの排出量を削減することをmitigation(緩和)といいます。そして、気候変動の影響に対応することをadaptation(適応)といいます。気候変動に対する戦略について語る際に頻繁に使われるキーワードです。
low-carbon technology 低炭素技術
低炭素技術は、温室効果ガスの排出削減に寄与する技術として注目されています。気候変動の緩和策の目玉の一つであり、
- 温室効果ガスの排出が少ない社会をlow-carbon society
- 温室効果ガスの排出が少ない未来をlow-carbon future
- 温室効果ガスの排出が少ない経済をlow-carbon ecomony
など派生語も多いです。低炭素技術と合わせてよく見る言葉としては、clean energy(クリーンエネルギー)、renewable energy(再生可能エネルギー)などがあります。
climate-fragility risks 気候脆弱性リスク
2015年のG7外相の報告書では
- 地域資源争奪
- 異常気象と災害
- 変わりやすい食糧価格と食糧供給
が気候脆弱性リスク(climate-fragility risks )の例としてあげられています。
また、ハリケーンや台風、洪水などの気候変動の影響から回復する力(復旧する力)は、climate resilienceはといいます。
no-regrets policy 後悔しない政策
政府間会議で多く使われる言葉で、no-regrets policy 後悔しない政策もしくは、no-regrets approach 後悔しないアプローチと言い、日本語的にはあまり見ないかもしれませんが、けっこうな頻度で使用されています。
no-regrets(後悔しない)という考え方が、未来に大きく影響を及ぼす可能性のある気候変動対策・アプローチの根底にあります。
Paris Agreement パリ協定
agreementで「協定」、「合意」を意味します。
2015年にパリで採択されたclimate changeの特性に関する国際的な協定のことです。Paris Agreementは、米国も当時合意した気候変動に関する協定ですが、トランプ大統領がひっくり返したので、今後もよく出てくる言葉となります。
greenhouse emission 温室効果ガスの排出量
地球温暖化を語る上で必ず登場する言葉は、greenhouse emissionです。そして、関連するキーワードとしては、
- recycle リサイクル
- cut down ~を削減する
- consume ~を消費する
などがあります。
AI&ロボット工学 AI and Robotics
IT革命の最先端が、AI革命です。AI(人工知能、Articiail Intelligence)はすでに普及することが決まっている技術であり、今回はその具体的にどのように普及させていくのかといったルールも議論される予定です。
無線で操縦する小型無人航空機のドローン(drone)もここで話されます。
AIの進歩は確実に生活を豊かにする一方、今行われている多くの仕事が激変する可能性に満ちています。当然仕事を失う人もいれば、新たな仕事を創出することにもつながります。またベーシックインカムが当たり前になる世界にも関わってくる、私たちの生活全般に最も大きな影響を及ぼす未来の話の一つです。
DFFT 信頼ある自由なデータ流通
安倍首相がダボス会議で提唱していたDFFT(Data Free Flow with Trust)という信頼ある自由なデータ流通の体制作りが重要な議題となります。
DFFTは簡単にいうと、個人情報を含んだデータを世界中で共有しようという意味です。今回の会議では、そのルールを取り決めるきっかけになるという、かなり重要な意味をもちます。たとえば、次の通りです。
医療の情報というのは、一つの病院で収集されたものは他に提供することは簡単ではありません。なぜなら個人情報の塊だからです。そのため、病気の研究をするときも、少数の病院からしかデータを収集できず、その中でAIを使った研究がなされています。しかし、もし世界中の医療のデータが共有されれば、その分だけ分析できる情報が整い今まで治らないはずの病気も治せるようになる可能性が急激に高くなります。
他の例でいうと、血圧計のメーカーと、家電製品メーカーがタッグを組めば血圧からエアコンの温度を調整してくれるようなサービスも実現します。
また、勝手に個人情報を共有されるようになる可能性は低く、たとえば利用者に個人情報を共有してよいか同意をもらうといったルールができると思われます。
ただし、データの管理は国によって全然違います。
アメリカはAmazon, facebookなど企業に情報管理は任されています。一方EUではEU地域外への情報の提供は禁止されています。そして中国とロシアでは国が情報を管理しています。これらをまとめるというのが、とてもハードなことと予想されます。
automated vehicle 自動運転車
automobileが自動車であり、昔から”auto”自動という言葉が使われている自動車ですが、そのさらに先を行くのが自動運転ができる車、automated vehicle(自動運転車)が近年急激に成長しています。
昨今痛ましい車による事故が多発しています。高齢ドライバーの運転免許について騒がれていますが、それとは無関係に圧倒的に事故件数No.1を継続更新しているのが自動車事故です。
そもそも人が操れるレベルに整備されていないという問題がありつつも、田舎では自動車でしか移動できない、日本経済の影響など、自動車はなくすことができない生活必需品です。
automated vehicle(自動運転車)が発展は、超高齢化社会が進む未来の日本にとってとても重要なお話です。
cybersecurity ネット系犯罪のセキュリティー
主にインターネットを介して起こる犯罪(情報を流されたり、PCへ攻撃されたり、データ改ざんされたり)のことをサイバー攻撃といいます。このリクスへの対策をサイバーセキュリティといいます。
東京オリンピックも近いですが、韓国の冬季オリンピックではオリンピックサイトがサイバー攻撃を受けていたと事後報告がありました。何事もなかったかのようにオリンピックを成功させていましたが、日本の東京オリンピックでもサイバー攻撃への対応を必ず考えなければなりません。
killer robots 殺人兵器
I am legend, AI, アイ,ロボット,ターミネーターといった映画や、最近ではヒューマンといった海外ドラマでもAIの進化によって起こる人への影響を描かれています。その最たる例が、正式名称lethal autonomous weapons(自律型殺人兵器)、一般的にはkiller robotsと呼ばれ、21世紀の核兵器とも呼ぶべき殺人兵器と化したAIの話が描かれています。AIが暴走する場合もあれば、人としての「自我」がAIの進化で芽生え、killer robotsになるという話が多いです。
AIの進化は目覚ましいところがあり、将棋でもチェスでもAIが勝利し、ガンの発見もAIの方が正確性がすでに上回っています。AI開発者自身が驚く結果が次々と出てきており、恐怖がある一方で、AIがもたらす私たちの生活向上は計り知れません。
関連する言葉としては、
- doomsayer 悲観論者
- superintelligence (人類の知能をはるかに上回る)超知能
- exceed ~を超える
- data-driven データ駆動型の
- livable 住みよい
などがあります。
国際貿易 International Trade
G20は自由貿易を推進していますが、トランプ大統領になってから状況が一変しており、今回の会議で再び方向性を参加国で揃えようとするのが狙いの一つです。
昨年のアルセンチンのブエノスアイレスでの首脳会議では、自由貿易推進を掲げる大切な理念を表す「保護主義と闘う」という文言を首脳宣言に入れられなかったのは、アメリカの反対が大きいため、今回も引き続きどうなるのかといったところです。
最近ではアメリカと中国との貿易で大きな問題が起きており、どのようにG20で足並みをそろえるのかが今回の見どころとなります。
TPP
TPPは、環太平洋パートナーシップ協定の略で、英語ではTrans-Pacific Partnership Agreementです。
2016年に12か国が署名しましたが、アメリカが離脱し、2018年では11か国が署名している太平洋を囲む包括的な経済連携協定です。
tariff 関税
アメリカが中国の関税を引き上げたことが最近話題になりました。
Non-Tariff Barriersで非関税障壁(NTB)といい、国際貿易に関する関税以外の問題のことを指します。他の言い方としては、非関税措置(Non-Tariff Measures,NTM)があります。
経済学的に、自由貿易が経済成長を最大化する枠組みとして大切とされていますが、なんでも間でも貿易を許してしまうといろいろ問題が起きてしまいます。
非関税障壁には例えば、
- 公衆衛生を害してしまう可能性のある食品や農産物
- 宗教を重んじる国では、宗教的理由(戒律やタブー)によって規制させる製品
- フェアなトレードではない品物
これら理由の明確なものだけではなく、輸入の数量制限を設けたり、植物検疫などもあります。
bilateral trade relations 二国間貿易関係
会議では、global trading system(世界貿易体制)について話される予定です。貿易の形はいろいろありますが、だいたいは次の3つです。
- unilateral trade一方的な貿易
- bilateral trade (二国間、双方向の貿易)
- trilateral trade(三角貿易、三国間の貿易)
一番多いのがbilateral tradeです。
また、multilateralism (多国間相互自由貿易)、trade talksで「貿易交渉」、trade policyで「貿易政策」といいます。
America first アメリカ第一主義
上と関連して、トランプ大統領が掲げているメイン政策アメリカ第一主義は、貿易に直結します。
trade sanctions 貿易制裁
北朝鮮の話の際によく出てくる言葉ですが、最近ではアメリカと中国の関係での貿易制裁(trade sanctions)が話題となっています。
目には目を、歯には歯を、しっぺ返しを表すフレーズとして、tit for tatという言葉があります。日常生活でも海外ドラマや映画でもよく聞くフレーズです。このtit for tat をくっつけて、tit-for-tat trade sanctionsで報復のための貿易制裁を意味します。
デジタル課税 Degital Service Tax
Degital service taxは通常DST、またはdegital taxと略されます。
GAFAへの課税をどのようにするかといった議論がなされます。GAFAは、Google, Apple, Facebook, Amazonの4大超巨大IT企業のことです。これらのIT企業のサービスやデータは、国境関係なしに利益を上げています。通常の企業であれば、物理的な拠点を設けている国に対して法人税などを支払いますが、GAFAは物理的な拠点を置いていませんが、それにも関わらず、インターネットを使用するほぼ全ての国々で多くの利益を上げています。
たくさん儲けているGAFAに課税したい!というのが、政府関係の思いでありますが、各国で提案している課税の仕組みが違うため、GAFAを代表とする多国籍企業(multinational)への課税標準(tax base)のすり合わせが必要となります。
イギリスでは、「個人情報を提供する各国の利用者が企業の利益に貢献した度合いに応じて税金を支払う」仕組みを支持する一方、アメリカは、「企業のブランド力や顧客データなどの無形資産に課税する」仕組みを訴えていて、場合によってはかわいそうな企業が出てきそうです。
bricks and mortar 実店舗
オンライン店舗を持たない実店舗だけの従来型のビジネスのことです。
effective corporate tax rate 法人実効税率
effective corporate tax rate (法人実効税率)は、所得に応じて法人に課税される税制で、その実質的な負担率のことです。
transfer pricing 移転価格
移転価格(transfer pricing)はGAFAといったIT企業だけではなく海外子会社がある企業で働いている方なら馴染みの深いというか、ほぼ必ず聞く言葉です。親会社と海外子会社の間で取引価格を取り決めた輸出入価格のことです
海外に子会社や関連企業があると、不当に安い価格で販売させ、輸入時の申告価格を引き下げて輸入消費税や関税を安く済ませてる手口があります。これは国際的な脱税となり問題となります。ちなみに「手口」、「計略」のことをschemeという単語を使います。
別に移転価格を設定することが悪いわけではありません。どうしても赤字で親会社も赤字で子会社も赤字で合理的な理由で安くなっている場合は問題なかったりします。
最近では、移転価格税制の取り締まりが強くなってもり、関連企業でも関連企業としてではなく、独立した企業間価格で取引を行うarm's length pricing(独立企業間価格)、略してALPで取引するよう促す動きがあります。arm's lengthというのは、「一定の距離を空ける」という意味があります。
intangible assets 無形資産
assetsは資産を意味し、経済や投資の話題でもよく使われる単語です。
tangible assetsで有形資産、そこに否定の意味のinの接頭辞をつけてintangible assetsで無形資産です。
まとめ
- agenda 議題
- proceedings 議事録
- be up for discussion 議題になる
- the chair country 議長国
- leaders' declaration 首脳宣言
- meeting 会議(一般的な単語)
- conference 会議(学術的な会議や研究会など)
- congress 会議(大規模、多くの場合世界的な規模の会議)
- council 会議(congressより小規模)
- session 会議(国会の会議やビジネスでの打ち合わせなど)
- Climate Change 気候変動
- mitigation and adaptation 緩和と適応
- low-carbon technology 低炭素技術
- clean energy クリーンエネルギー
- renewable energy 再生可能エネルギー
- climate-fragility risks 気候脆弱性リスク
- climate resilience 気候変動の影響から回復する力
- no-regrets policy 後悔しない政策
- Paris Agreement パリ協定
- drone ドローン
- DFFT 信頼ある自由なデータ流通
- automated vehicle 自動運転車
- cybersecurity ネット系犯罪のセキュリティー
- killer robots 殺人兵器
- International Trade 国際貿易
- TPP 環太平洋パートナーシップ協定
- tariff 関税
- Non-Tariff Barriers 非関税障壁 (NTB)
- Non-Tariff Measures 非関税措置 (NTM)
- bilateral trade relations 二国間貿易関係
- America first アメリカ第一主義
- trade sanctions 貿易制裁
- tit-for-tat trade sanctions 報復のための貿易制裁
- Degital Service Tax デジタル課税 (DST)
- tax base 課税標準
- multinational 多国籍企業
- bricks and mortar 実店舗
- effective corporate tax rate 法人実効税率
- transfer pricing 移転価格
- scheme 手口
- arm's length pricing 独立企業間価格
- intangible assets 無形資産
- tangible assets 有形資産
まだまだ一部ではありますが、これだけ知っておけば、十分理解できる内容になるでしょう。