表現に困ったときは、動物の英語フレーズを覚えると一気にバリエーション豊かになります。
ここでは海外ドラマや日常英会話でもよく使われているイディオムを紹介します。
よく使われる動物の英語フレーズ・イディオム
black sheep 厄介者(家族や会社などの組織の)
羊は毛がふわふわで白いイメージがあります。実際そのよう毛の羊が多いのですが、中には黒っぽいというか茶色の羊もいます。
白色の羊毛は自由に染色することができるため、利用価値が高くなり金額的にも高値で取引されます。しかし、黒っぽい羊毛は染色できないため、特に昔は価値が低かったのです。
餌は白色の羊同様の量を食べるため、羊毛で生計を立てている家族や組織にとって、黒っぽい羊"black sheep"は「厄介者」だったという経緯があります。他にも「見捨てられた者」とか「のけ者」という意味があります。
black sheepの例文
I feel like a black sheep in the company.
会社で厄介者の気分なんだけど。
Rats! しまった!、やってしもた!
ネズミは英語で2通り呼び方があります。mouseとratです。mouseとratの違いは、辞書的にはmouseはハツカネズミなど小さめのネズミを意味し、ratの方がドブネズミなど大きいネズミと訳されることがあります。
mouseとratのニュアンスとしての違いは、「かわいい!」というニュアンスがあるかどうかです。ミッキーマウスは割と大きいネズミですが"mouse"が使われていますね。なぜならミッキーマウスは愛くるしさや愛着も感じられるため、"mouse"がニュアンス的に正しいということになります。逆にいうと、ミッキーラットと"rat"にすると、近寄りがたいイメージになります。
"rat"は見つけると不快な思いをすることが多いため、そこから転じて"rats"で「やってしまった!」、「ちくしょう!」という意味で使われるようになりました。
Rats!の例文
Rats! I forgot my smart phone in the office.
しまった!オフィスにスマホを忘れてきちゃった。
put the cart before the horse 本末転倒
horse「馬」は昔は移動手段として使われたり、戦でも大活躍していたため、馬を使った表現はとてもたくさんあります。
- strong as a horse「馬並みに強い」
- on one's high horse「背の高い馬の上で」→「傲慢になって」「威張って」
- Hold your horses!「馬を押さえといて!」→「焦らないで!」
- play the horses「馬で遊ぶ」→「競馬をする」
- beat a dead horse「死んだ馬をたたく」→「解決した問題を掘り起こして話す。無駄なことを繰り返す」
- put the cart before the horse「馬の前にカートを置く」→「順序を誤る」「本末転倒する」
- eat like a hourse 大食漢だ、大食いである
put the cart before the horseの例文
Don't put the cart before the horse.
本末を転倒しないで。
happy as a clam すっごく幸せ
clamは「貝殻」の意味です。
語源としては、as happy as a clam at high tide「満潮の時の貝のように幸せだ)から省略されて今の形になりました。
しかし、世間的には、貝殻を上からみると丸いシルエットで笑顔のときの口に見えることから、as a clam貝殻のようにhappyだという形で認識されています。
happy as a clamの例文
I finally got a girlfriend. I am happy as a clam!
やっと彼女ができたよ!すっごく幸せだ。
as blind as a bat 視力が弱い、ほぼ見えていない
bat「コウモリ」は一般的には目が見えないとか視力を持っていない動物と認識されています。(実際は視力のあるコウモリもいますが。)
視力が悪い人はかなり使える表現です。
as blind as a batの例文
What are you doing there?
そこで何してるの?
I lost my glasses. Without them, I'm as blind as a bat.
眼鏡を失くしたんだ。眼鏡がなかったらほとんど見えないんだよ。
make a monkey out of a person ~人をばかにする
monkey「サル」にはイタズラしたり、バカにしたりするイメージが昔にはあったようで、make a monkey out of ~「~からサルを作る」→「~をばかにする」という意味で今もなお使われています。
他にもmonkeyで似たような意味で使うイディオムが多数あります。たとえば、
- get a person's monkey up「人を怒らせる」
- get one's monkey up「怒る」
- have a monkey on one's back「麻薬中毒になっている」
などがあります。
make a monkey out ofの例文
A:I got married.
結婚したよ。
B:Are you trying to make a monkey out of me?
俺のことからかってるのか?
big fish 大物
big fishの直訳は「大きい魚」。釣りをしている場面を想像するとわかりやすいですね。大きい魚がかかったらうれしいものです。そこから転じて「重要人物」、「大物」といった意味が生まれました。
big fishの例文
Wow, your boyfrined is driving Mercedes. He must be a big fish.
おぉ、彼氏ベンツを運転してるじゃない、大物に違いないわね。
余談ですが、英語圏ではベンツ(Mercedes-Benz)をもっぱらMercedesと呼びます。ベンツと言っても通じないこともあるので注意しましょう。
a little bird told me 小耳にはさむ
a little bird told me「小鳥が教えてくれた」から「小耳にはさむ」「ある人から聞いた」という意味になります。
見たような単語で
- whispered to me「私にささやいた」
- tweeted to me「私につぶやいた」
という代替表現がありますが、a little bird told meの方がこじゃれた感があります。
a little bird told meの例文
Congrats on your promotion!
昇進おめでとう!
Thanks, how did you know that?
ありがと。どうやって知ったの?
A little bird told me.
小耳に挟んでね。
an elephant in the room 知らないふりをすること
an elephant in the room「部屋の中の象」が直訳です。部屋に象がいれば誰だって気付きますね。そんな大きな象を気づかないふりをする、見てみぬふりをするという表現の一つです。
ただし、皮肉めいた使い方というよりは、空気を読む場合に使われることが多い印象です。知っているけどあえて言わない、聞かないという場合に使用します。
主語は秘めたい事にすると使いやすいです。
an elephant in the roomの例文
A:I actually got a boyfriend last week.
実は先週彼氏できたんだ。
B:Oh, he's the guy living in Aoyama, isn't he?
あ、それって青山に住んでる人じゃない?
A:Yeah that's correct. But it's the elephant in the room when other friends are here.
そうそう!でも他の友達がいるときは知らないふりしてね。
cash cow 金の成る木
cow「乳牛」はいったん飼うと、ミルクを出し続けてくれ、昔はそのミルクを売るだけで生計が立てることもできました。そこから成功したビジネスモデルのことをcash cow「金の成る木」「ドル箱」「もうかるビジネス」「もうかる商品」という意味になりました。今の時代なら、AI関連などはcash cowですね。
cash cowの例文
A:I am into this bread. It is expensive but is so good.
このパンハマってるんだけど。高いけどすごく美味しいの。
B:Yeah, it is a cash cow in this store.
そうだね、あれはこの店のドル箱だからね。
まとめ
紹介した主な動物の英語フレーズ・イディオムは次の通りです。
- black sheep 厄介者
- Rats! しまった!
- put the cart before the horse 本末転倒
- happy as a clam すっごく幸せ
- as blind as a bat 視力が弱い
- make a monkey out of a person ~人をばかにする
- big fish 大物
- a little bird told me 小耳にはさむ
- an elephant in the room 知らないふりをすること
- cash cow 金の成る木
これだけ覚えておくと、役立つ場面も多くなります。
ただし、グローバルイングリッシュが求められる環境、つまりノンネイティブ同士で英語を話す環境では使用は避けた方がいいでしょう。なぜならば知らない可能性が高くなるからです。ただし、ネイティブと話しをする場合は自然と会話に織り交ぜられている場合が多く、上記イディオムを知らないと意味が分からない、聞き取れない原因となります。
知っていることは必要ですが、使う場合は相手のことを考えて、ネイティブや英語上級者と話すときに使用しするのがおススメです。